"東京差別"

先日、福岡のスタッフと電話で話していて、“東京差別”という言葉が生まれた、と聞いた。  ついに私たちも、差別される側にまわった。

 すぐに撤回はされたが、「東京は諸悪の根源」という兵庫県知事の発言もあったし、私の周囲の人々は、実家からは帰ってくるな、と軒並み言われている。また気を遣って、自分から帰らないという人も多い

 この4月に、数年間撮り続けたあるご夫婦の、大事な最後の撮影をするつもりでいた。当然、延期した。数日前、ご高齢だし何かあったら、という思いにかられ、万全の準備をするので行きたいと、お世話をしている方に相談してみた。しかし感染のリスクはゼロではないし、「東京から」というと、当人はともかく、周囲を恐怖に陥れる。しばらく辛抱しようとなった。むろんこれは差別ではなく、まっとうな判断である。

 これまで私は“福島差別”を怒っていた.。だが、ただひどいと思っていただけで、差別される側の感情を、肌で理解していなかったことに、今回ひしと気づいた。

 そんなことを考えているさなか、沖縄の米軍基地で60人を超すクラスターが発生という、愕然とするニュースを聞いた。さらに増え、7月だけで130人を超えているそう。米兵と家族は、アメリカから基地内に直接入ってくる。  差別という言葉の中で、 “沖縄差別”は、別の文脈で考えていた。  コロナ×基地というのは・・・・・。

 このところ写真を整理していたので、以前撮った沖縄の写真を思い出した。  米海兵隊の降下訓練と、かつて読谷村にあった通信傍受施設「象のオリ」だ。「象のオリ」の機能はキャンプ・ハンセンに移設、2006年に敷地は全面返還、翌年に撤去されたので、この光景はもうない。しかし実態は変わっていないのでないか、と改めて思った。

 それにしてもこの時期に、「Go To Travel キャンペーン」をやるのは正気の沙汰とは思えない。全国に感染者を増やすようなものだ。  観光業が大変なのはよくわかるが、同じ税金を使うなら、別の援助方法があるはずだ。そもそも感染者が出れば、その地の観光そのものがつぶれていく。