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コロナ死の友によせて

 幼馴染の友人が、先月末、コロナで亡くなっていたことを3日前に知った。ご家族からのお葉書による。

幼稚園から高校まで一緒で、ずっと近所に住んでいたから、最近も町でよくすれ違っていた。思想信条も政治的スタンスもまるで違うが、友だ。


大きなショックの中で、はっと気づいた。

阪神淡路大震災の現場で、生きていたのに助けられなかった、という話をたくさん聞いた。その時初めて、私はアフガニスタンの戦場にいたが、そこで目撃した死は、よその国の他人事でしかなかったのだと、恥じた。

東日本大震災でも、個々の死の重さを感じていた。

 原爆の場合はあまりに数が多いので、親しい被爆者の背後にどれだけの死者がいるのかを、想像するようにしていた。


 ただコロナ禍の中で、毎日発表される数字を見て、自分の身近な人間が亡くなるまでは、その数でしかとらえていなかった。

 これでは政治家と同じで、他者と痛みを共有しようとするジャーナリストとしては、基本的に失格だ。

 明日からまた、新たな気持ちで出発したい、と思う。

 友よ、悲しいけれど、気づかせてくれて本当にありがとう。

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